屋根勾配と瓦種別の関係
屋根の勾配によって、使用できる瓦と使用できない瓦があります。
勾配
例えば、水平距離100cm進んだ先の高さが40cmであれば、40/100の勾配となり、業界では4寸勾配と呼んでいます。これは、10寸(1寸=3.03cm)進んだ先の高さが4寸でも同じ勾配で、メートル法の現在でも尺貫名称が業界ではよくつかわれているのです。
勾配は急なほど雨水の流れがよくなるのですが、あまり急(5/10以上)だと屋根施工時に危険が伴うため、屋根用の斜め足場が別途必要になってきます。また、雨水の流れに勢いがつきすぎて雨樋から雨水が溢れ出す場合もあります。一方、勾配の小さな屋根では雨水の流れがゆるやかですから、瓦に雨が浸透しにくい、あるいは瓦の重なり部分から雨水が侵入しにくいなどの性能が求められます。一般的な住宅で使われる屋根勾配は3〜5寸ほどです。
和瓦・S瓦類の屋根勾配
瓦の中では比較的急勾配が求められ、4/10前後となります。これは、和瓦やS瓦のように波型状のものでは雨水が瓦の重なり部分の隙間から入りやすいために排水性を高める必要があるからです。ただし、瓦メーカーによっては独自の瓦形状で雨水を侵入しにくくしたり排出しやすくしたりしたものがあり、2寸勾配以上としているものもあります。
薄型化粧スレート瓦類の屋根勾配
コロニアルなどがこれに該当し、一般的に必要な屋根勾配は3/10以上とされています。ただし、メーカーの製品紹介の中で2.5/10以上としている製品もあります。
薄型化粧スレート類の瓦は一枚の板状で、端部に和瓦のような雨水の侵入を防ぐため、あるいは接合用の特殊な加工がありません。和瓦などに比べて重なり部分を多くすることで、雨水の侵入を最小限にしています。材の重なりを多くすることによる雨水の侵入を最小限にする効果は、和瓦などよりも大きいため、必要な屋根勾配が和瓦類よりも小さくなっています。
金属瓦類に必要な屋根勾配
金属屋根全般では、1/10以上とされていますが、実際にはメーカーの推奨勾配があり、製品によっては3/10以上としているものもあります。表面を艶のある塗装をした雨水が流れやすいものは小さな勾配で、表面を砂粒などでコーティングした雨水が流れにくいものほど、必要な勾配が大きくなります。